PC用 UPS(無停電電源)をVCRに使う


さて、BBSの方で聞かれたUPS(無停電電源)のビデオデッキへの利用を、日常PCに繋いであるOMRONのBX750というタイプで試してみた。PCに繋いだときの報告はこのへん
ビデオデッキでタイマー予約をしていて停電にあった時、最近のデッキは5分程度の停電なら時計も狂わず予約情報も消えはしない。しかし、録画中に例え1分でも停電になるとせっかくの録画が中止され、再通電後にも録画が再開されない機種がほとんどだ。
ならば、大事な録画の為にパソコン用のUPSを使って停電に強くしてみては?と思ったのが実験の趣旨。UPSてのは要するに、繋がれている機器を停電のときに一時的に内臓バッテリーで動かして障害を防ぐ機械。バックアップ中に停電が直れば何も無かったかのように元通りになる。
UPS自体は大きく分けて、制御で2通り、出力波形で2通りの3種類くらいある(無い組み合わせが有るので)
制御は、常時商用電源/常時インバーターの2通りで、通常は壁のコンセントからの電源がスルーしていて停電時時に切り替わるのと、まんまいつもインバーターが動いているやつ。後者の方が電圧制御なども出来るし、停電時の切り替えタイムラグ(10-20mSec)も無いが高価。
波形は、バックアップ中の電圧波形が矩形波/正弦波の2通りで、もちろん後者の方が高価な上、負荷にどのような機器でも接続できるしノイズも少ない。(他に良く聞くやつで多段階段上矩形波の擬似正弦波と言うのもあったが、両者の間くらいの値段と性能で今は流行っていない)
家にあるのは一番安い常時商用電源矩形波出力で、容量750VAのもの。750VAてのは、ビデオデッキなどの消費電力に力率計算したもので、逆に言えば750VAだと電熱器や白熱灯以外では450Wくらいの機器しか繋げられない。停電時の切り替え時間も実力値で6mSecほど掛かってしまう製品だ。
実験方法は
・実際にビデオデッキをUPSに繋ぐ。
・録画を始めて1分後にUPSのコンセントを抜いて停電状態にする。
・その後1分後に停電が回復したかのようにコンセントを差す。
・録画したテープを巻き戻してノイズなどを確認する。
などと、蘊蓄を書いたが、やってみたらなんら問題なく動いて、録画画像にもノイズは一切現れなかったので、ちょっとつまらなかった。
これだけだと面白くないので、実際にUPSのバックアップ時の波形をそれぞれ測定してみた。測定に利用したのはテクトロにクスのTDS330と電流プローブ。
上の写真が、通常通電時の波形、上側の波形が電圧で下が電流。スイッチング電源特有の電圧ピーク時にだけ電流が流れる、非常に力率の良くない高調波のまみれの波形だ。電圧はピーク140Vのほぼ正弦波。電流はピークでは1.7Aも流れている、でも消費電力自体は数十W。
そしてこれが、実験に使ったオムロンBX750のバックアップ時の波形。見て解るように矩形波出力なので、電流波形はなんだか解らない状態になってしまっている。もっともこれでちゃんと動いているのだけど。
電圧が0Vで一回とどまるのは3次高調波を減らす工夫なのだが、電流がこれではかなり酷いかも?でも電力自体が少ない上に、バックアップ時はコンセント側と切断されているのでどうでも良かったりもする。
最後のこれが、別のUPSでAPCのSMART-UPS-1400のバックアップ波形。このUPSは実験に使ったものと違い正弦波出力の製品。見て解るように綺麗な正弦波で電流波形は通常通電時と全く同じ。電圧波形にいたってはかえって綺麗かも?
あと、ラインインタラクティブ型なので電源が15%くらいふらついた時も補正してくれる。それ以上のふらつきはバックアップ開始。
で、買ってみようかな?と思われた方も多いと思うが、お値段もぴんからきりまであるので、おいらは絶対正弦波じゃなきゃやだって方はAPCとかOMRONとかで実売5万円くらいから有るので、そーいうやつを買ってください。お試しにって方は300VAくらいの常時商用電源型なら1万5千円くらいからあるし、ビデオと相性が悪くてもPCに使えるので如何かと。。。
ちなみに300VAでも30Wのビデオデッキなら30分はバックアップできる。さらにちなみに東京電力の発表では4分/世帯/年の停電時間だそうなので、最悪でも5分も持てば通常は大丈夫。会社のキュービクルが壊れたときは付近一体30分停電していたけど。。。

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